気温35度、湿度80% ―― バンコクの王宮で「ロングパンツ」が必須な理由

Travel & Culture Acloset Magazine

気温35度、湿度80% ―― バンコクの王宮で「ロングパンツ」が必須な理由

バンコクの王宮(グランドパレス)の正門前。顔を伝う汗。長い列に並んでようやく入り口にたどり着いたその時、警備員があなたのショートパンツを指差し、首を横に振ります。「ショートパンツは禁止です」。振り返れば、全く同じ理由で追い返されている何十人もの観光客の姿が……。毎年、非常に多くの人々が、王宮の入り口で足止めを食らっているのです。


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ロイヤル・ルールの基本:肩と膝を隠すこと

バンコクの王宮は、年間800万人以上が訪れるタイで最も重要な文化的ランドマークです。「エメラルド寺院」として知られるワット・プラケオを擁するこの場所は、王室の象徴であると同時に、現在も信仰を集める宗教施設でもあります。そのため、ドレスコードが非常に厳格に運用されているのです。

ここでは、入場NGとなるアイテムをリストアップしました:ショートパンツ、ミニスカート、ダメージジーンズ、そしてパンツ代わりに履くレギンスはすべて不可。袖のないトップス、キャミソール、クロップド丈、透け感のある素材も禁止されています。王宮敷地内ではビーチサンダルも厳密には推奨されず、本堂に入る際は帽子やサングラスも外さなければなりません。

「肩と膝の両方を完全に隠すこと」。これが最もシンプルな鉄則です。

これは王宮に限った話ではありません。ワット・ポー(涅槃仏寺院)やワット・アルン(暁の寺)といった主要な寺院も、ほぼ同様の基準を設けています。逆に言えば、王宮に行くための服装をしていれば、その日は一日中どこへ行っても安心です。

しかし、本当の課題はバンコクの気候です。平均気温30〜36度、湿度は70%を超える中、どうすればロング丈の服で快適に過ごせるのでしょうか?


解決策は「素材」にあり ―― 涼しい生地で暑さを乗り切る

涼しさを保つ秘訣は、服の長さではなく「素材」選びにあります。

イチオシは、リネンのワイドパンツ。脚をしっかりカバーしつつ、ゆったりとしたシルエットが風を通し、通気性を確保してくれます。シワになりやすいリネンですが、バンコクではその自然なシワ感さえも「こなれたスタイル」に見えるもの。現地の人も、リネンのナチュラルな風合いを好んで取り入れています。

トップスには、軽量のコットンシャツやオーバーサイズのブラウスを選びましょう。肩を隠しながらも、肌に張り付かないゆとりがあるものがベストです。もし竹繊維(バンブー素材)のものが見つかれば、さらに理想的。抗菌性や吸湿速乾性に優れており、熱帯気候ではまさに救世主となります。

もう一つの賢い戦略は、薄手のカーディガンや大判のストールをバッグに忍ばせておくこと。移動中は涼しい格好で過ごし、寺院に入る直前に肩に羽織るだけで、スマートにルールをクリアできます。

最後にもう一つヒント: 王宮へは、開門直後の午前8時30分を狙って行きましょう。日中の猛暑がピークに達する前で、混雑も比較的緩やかなため、ドレスコードを守った服装でも過ごしやすくなります。正午を過ぎると、気温の上昇と人混みが相まって、体感温度は一気に跳ね上がります。

それでも、うっかり準備を忘れてしまうこともあるかもしれません。そんな時も、パニックにならなくて大丈夫。


諦めるのはまだ早い ―― 現地のレンタルサービス

もし自分のコーデが規定を満たしていなくても、参拝を諦める必要はありません。

王宮の入り口付近にはレンタルブースがあり、ロングパンツやストール、サロン(巻きスカート)を貸し出しています。通常200バーツ(約850円)程度のデポジットが必要ですが、返却時に全額戻却されます。ワット・ポーやワット・アルンでも、入り口で100〜150バーツほどで巻きスカートをレンタル、または購入することが可能です。

ただし、観光シーズンはレンタル品が品切れになったり、貸出待ちの列で貴重な観光時間が削られたりすることも。やはり自分のお気に入りのアイテムで準備していくのが一番です。

無事に入場できたら、最後にもう一つだけ気をつけるべきマナーがあります。それは「写真撮影」についてです。


仏像に背を向けない

タイの寺院で非常にデリケートなマナーの一つが、「仏像に背を向けて自撮りをする」ことです。これは現地の方々にとって、非常に失礼な行為とみなされます。また、仏像よりも高い位置から撮影することも避けてください。タイの文化では、頭は体の中で最も神聖な部位、足は最も不浄な部位とされています。仏像よりも頭が高い位置にあることは、この精神的な秩序を乱すと捉えられるのです。

僧侶を撮影したい場合は、必ず事前に許可を得てください。特に女性が僧侶の体に触れることは厳禁されているため、近くで撮影する際も敬意を持って距離を保ちましょう。王宮内の一部(王族の居住エリアなど)は撮影禁止となっており、三脚やドローンの使用も敷地内全域で固く禁じられています。

ドレスコードと現地の習慣を尊重することで、王宮や寺院での体験はより深いものに変わります。警備員に止められることなく自由に歩き回り、黄金に輝く尖塔の細部を間近で眺め、現地の人々の祈りの姿を静かに見守る。たった一本のリネンパンツが、驚くほど多くの扉を開いてくれるはずです。

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❓ よくある質問

Q:巻きスカートやキュロットは大丈夫?
A:はい、膝下まで隠れる長さの巻きスカートなら問題ありません。ただし、生地が薄すぎて透けて見える場合は止められる可能性があるため、裏地のあるものを選びましょう。

Q:ドレスコードは子供にも適用される?
A:基本的にはイエスです。スムーズに入場できるよう、お子様にもロングパンツと袖のあるトップスを用意しておくのが安心です。

Q:東南アジア旅行の準備にAclosetをどう活用すればいい?
A:デジタルのクローゼットに素材タグを追加しておけば、「リネン」や「コットン」でフィルタリングして、熱帯にぴったりのアイテムをすぐに見つけられます。また、「寺院コーデ」を作成してコーディネートブックに保存しておけば、将来バリ島やカンボジアに行く際もそのまま役立ちます。


参考資料・出典:

  • タイ王室事務局 (Bureau of the Royal Household), 「王宮参拝ガイドライン」, 2025
  • タイ国政府観光庁 (TAT), 2025
  • ロンリープラネット (Lonely Planet), 「バンコク寺院のエチケット」, 2025

Aclosetマガジン編集チーム執筆。

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